こんにちは、オヒロンヌです。
今回はいろんな種類の仕上げについて解説して行きたいと思います。
革はベースが出来ても仕上げをしないと市場には出て来ません。
今回は市場に出回ってる仕上げを一覧できると思います。
大きく2つの仕上げがメインになり、その派生が加工になります。
それでは行ってみましょうー
顔料仕上げ
世の中にある革製品の中で一番多い仕上げ方法であり、これから説明していく仕上げの基本ベースになる仕上げになります。
高級ハイブランド製品から安い製品までいろんなブランドが使用してます。
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顔料とはわかりやすく簡単に言うと絵の具です。
またはペンキです。
その両方を使用して仕上げられます。
と言うのも、絵の具は水に溶けますよね?ってことは水性です。
またペンキは水では溶けませんよね?(溶ける物もございますが…)溶剤で溶かします。
革の仕上げには水性の塗料と溶剤の塗料を重ねて仕上げて行きます。
お化粧のベースメイクとすごく似ています。
- 1.スキンケア → カチオンを吹き付け
- 2.日焼け止め →バフ掛け(するしないは工場に寄ります。)
- 3.化粧下地 →水性塗料吹き付け
- 4.ファンデーション →溶剤塗料吹き付け
*赤文字が大まかですが革の仕上げの工程です。
ざっくりですが近いですよね?
これは日本に多い仕上げになると思います。
イタリアでは溶剤の塗料はあまり使われてない印象です。これはヨーロッパのREACH規則によって規制されてるからです。
どちらもメリット・デメリットがあります。
溶剤塗料を生地のカバー力が強く、安全な仕上げになりますが、手触りが良くありません。
水性塗料は生地のカバー力は弱いが手触りがいいです。耐水性も落ちます。
ちなみに下の写真は染色した下地ですが、この白くなってるのは虫食いの痕です。
業界ではこれをピンホールと言ってます。
これは溶剤塗料なら隠せますが、水性塗料だけでは難しいです。何かあったなってわかっちゃいます。
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いい生地も悪い生地も使えちゃうってことです。
スムースはいい生地を使用することが多いですが、シュリンクは悪い生地を使うことが多いです。
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読者の皆さんもどこかの店頭で見たことがあると思います。
使用したこともあるんじゃないかなぁ〜
見た目は滑らかで綺麗に出来ますが、革の経年変化が出にくいのがデメリットですね。
使って行くとどうしても角が擦れて汚れて来たり、塗料が剥げたり来ますと逆にみすぼらしく見えますよね💦
革製品の修理屋さんで修理は出来ますが、1〜2万前後は掛かりますので痛い出費ですよね!
アニリン仕上げ
アニリン=染料です!
染料で仕上げた革をアニリン仕上げと言います。
他にも水染め、素上げとも呼ばれたりします。
主に植物タンニンなめしの仕上げによく使われる仕上げ方法です。
多いのはタンニンなめしですが、もちろんクロムなめしでもします。
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自然な革らしい見た目が特徴ですね。
イタリア製のタンニンなめし革は大体がアニリン仕上げになってます。
代表的なのはココマイスターなんかはこの仕上げの革が多いですね。
genten、Dakotaなんかもナチュラルな革を多く使用されていますね。
透明感のある塗膜になるので、革の粗さや血筋、トラ、傷などがそのまま残り革本来の良さが出てます。
アニリン仕上げは顔料仕上げと違いエイジング、経年変化を楽しめる仕上げです。
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↑のバッグもアニリン仕上げでまぁまぁいい感じにエイジングしたかなぁ〜って思ってます。
人によっては汚いって思うかもですが。。。
タンニンなめしでも表面が顔料仕上げならこうはなりません。剥げてくるだけです。
色々な仕上げの中でも、手に吸い付く様な手触りが良いのはこの仕上げです。
塗料が剥がれる心配はありません!
傷は付きやすいですが馴染んできますし、手脂でシミみたいになりますがそれがエイジングになって愛着が湧いてきます。
問題は色が落ちやすいところです。
染料って基本的に色が止まりません。
止まってるアニリン仕上げはおそらく表面にラッカーをしてる可能性があります。
そーするとエイジングが鈍くなります。
染料を止めるには本来はホルムアルデヒド(簡単に言うとホルマリンです。)しかありませんが、
禁止薬品になりますので、もし使ってるとこがあればOUTです。
白い服で擦ってみると色が落ちるか分かりますので!落ちればそれがアニリン仕上げの正解になります!
アニリン仕上げの良さは
風合い、手に馴染む、革らしさがある、エイジング経年変化を楽しめる。
デメリットは
色落ち、使用感が汚く見える、傷がつきやすい、シミになりやすい。
アニリン仕上げと一緒にやられることが多いのがグレージングです。
メノウやガラス玉を強い圧で摩擦をして、革に光沢を出す仕上げでグレージング仕上げと呼ばれます。
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コードヴァンもこのグレージング仕上げになります。
セミアニリン仕上げ
セミsemi、字の如く半分染料を使ってる仕上げのことです。
最初に上げた顔料仕上げとアニリン仕上げを組み合わせた仕上げになります。
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顔料でベースを綺麗にし、アニリンで透明感?ナチュラル感を出してます。
どちらの良さも取り入れた、バランスがいい仕上げですね。
まぁ、悪い所もバランス良く入ってますね。
工場によっては顔料と染料混合の塗料剤を使用してるところもありますね。効率よく仕上げには良いですね。
エナメル仕上げ
エナメル仕上げとは、革の表面に光沢と耐久性を持たせた革になります。
エナメルレザーともいますね。
おそらく革の仕上げの中で、一番ツルッツルな表面に透明感のある光沢が特徴です。
昔は加熱したアマニ油を溶かし何度も革に塗りこんで仕上げてましたが、現在はウレタン樹脂を用いられてますね。
エナメルは被膜により革の表面を守ってますので、耐久性や耐水性に優れています。それが目的で開発された様な仕上げです。
もちろんエイジングは一切しませんね。。。
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ヴィトンなどでも使用されるレザーですね。
熱などで表面がベタつきやすくなるのでご注意が必要にはなります。
ベタつき出したらエナメル用のケア用品が必要になります。
普通のレザーケア用品は使用できないものが多いです。
エナメルの類似でガラスレザーもあります。
こちらもウレタン樹脂で表面をコーティングして仕上げます。
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ガラスレザーはどちらかというと悪い生地を綺麗に仕上げして使われることが多いです。
表面をサンドペーパーなどで削って平にしてから使用されるので安価で取引されることが多い商材です。
リーガルなどでよく使われてますね。
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かっこいいですよね!
でも、安いガラスレザーだと表面がエナメルほど強くないので剥がれてきます。
オヒロンヌもビジネスシューズを履いていた頃、トゥの部分からペリペリって剥がれたことがありました。
ちなみにガラスレザーも顔料をベースにして作られますよ。
プルアップ仕上げ
こちらは白化させる仕上げになります。
わかりにくいので下の写真をご覧ください。
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写真でもわかるように、色が変化してますよね!
これがプルアップと言います。
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これもアニリン仕上げの一種ではありますが、こちらは基本的に仕上げに染料は吹き付けないです。
多いのはタンニンなめしのベースを作る際に、染色とオイルをいっぱい含浸させます。
で、なんでそうなる?って話ですよね。
染色って細かい粒子の染料で染めるんです。なので粒子は固まることはないんです。
またオイルも基本的に固まらないですよね。白い固形になりますよね。
肉じゃがやモツ煮の残り物とか時間が経つと白い塊の油になりますよね、でまた温め直すと溶けますよね。完全に固まらないんです。
革に含まれたオイルと染料が、ギュッとなる部分に強いテンションがかかり、写真のようにそこにあったオイルが動き、それに釣られて染料も一緒に動いてしまい白くなるんです。
オイルなのでまたドライヤーなどで熱を加えると元に戻ります。
革の繊維は複雑なのでオイルを多く含むところとそうじゃない部分によってムラが生まれます。
そのムラが独特の雰囲気を醸し出し、ヴィンテージの様な深みが表現できます。
染色して仕上げにオイルを添加して、バッチンと熱を入れて終わりがほぼほぼな流れです。
頭ハリ加工
頭ハリ加工とは型押しの凹凸の凸の部分に色を乗せる加工のことです。
型押しの革でこの様な加工をする商品は結構多いですね。
ここでも基本は顔料仕上げしたベースにする加工です。
2トーンで陰影を出し、奥行きを表現するのに便利な加工だからです。
メイクでいうシャドーを入れる感じですね。
単色で仕上げもいいのですが、2トーンを出すことで表情が豊かになるのでメンズ、レディース問わず人気の加工になります。
この加工は熟年の職人が一枚一枚手作業で行いますので、同じ表情が、同じムラがありません。
手作業なので職人さんが違うと上がりも変わってくる難しい商品なんです。
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クロコの型押しの凸の部分がワントーン、ツートーン濃くなってるのがわかりますよね。
これが頭ハリです。
クロコの商品を持ってる人は見てみてください。おそらく同じようにトーンが違うと思います。
この加工は色々な型押しで用いられる加工してなので、意外と目にすることが多いと思います。
ベースを顔料で頭に付ける色は染料で深みを出したりもします。セミアニリン仕上げのような感じに!
拭き取り加工
頭ハリの逆の加工方法になります。
頭ハリは凸に色を乗せますが、拭き取りは凹に色をいれる加工のことです。
型押しの凸の部分を薄い色にしたい場合に用いられる加工で、凹に濃い色を入れます。
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これは白がベースになり、一度全面に黒吹き付けます。
その後に固まらないうちに、黒の塗料を拭き取ります。そうすると頭には白が出て、溝の凹には黒が残ります。
濃い色にそれよりも薄い色は乗らないからこの様な加工になります。
黒の上に白は付きませんよね?黒いTシャツに白いシミみたことありますか?白い何かが付いてもグレーになりますよね!
それと同じなんです。
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こちらも型押しは白の拭き取りをしてます。柔らかく可愛い雰囲気が出てますよね!
この作業も職人が手作業で仕上げる加工になります。
洗い加工、絞り加工、ダメージ加工、クラック加工
洗い加工はそのままです。
染色した革を水洗いしてクチャクチャにする加工です。
洗濯して伸ばさないで干した状態みたいにシワだらけにします!
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ユーズド感がかっこいい表情になるんですよね!
ご自宅にある革ジャンなどを手洗いで簡単にできますので、こんな感じの雰囲気が好きな人はチャレンジしてみるのもアリですね!
タンニンなめしした革だとシワが出やすく雰囲気が良いです。
絞り加工
これも洗い加工と流れは同じですが、最後に雑巾を絞る様にギュっとやれば完成!
絞り加工をやってるブログがあったのでリンク貼っておきます。
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ダメージ加工
最近は全く見かけなくなりました。
昔はタイコと言われる洗濯機みたいな機械で(染色などする機械です。)、水を入れずに革と石を入れて、わざと革にダメージを加えた革があります。
クラック加工
表面をクラック、割る加工です。
割るって言っても表面に特殊なワックスを塗布してワックスを割った感じの加工です。
今は型押しやフィルムで表現したりします。
まとめ
革には色々な仕上げや加工が数多く存在します。
革の大きな仕上げは2パターンが基本
- 顔料仕上げ
- アニリン仕上げ
この2つがメインになり、基本になります。
どちらかの仕上げをしてから加工に回す。
頭ハリ、拭き取り、エナメル、セミアニリンなど。。。
仕上げないで加工に回す。
プルアップ、洗い加工、絞り加工、ダメージ加工など。。。
革の仕上がりでどちらの加工が好きか好みが分かれると思います。
自分の好きな仕上げ、加工がこの記事でわかれば幸いです。
少なからず革の仕上げには目に見えなくても手作業が施されている革が多いです。
以上
おわり
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